Uちゃん

Uちゃん(義妹)は一昨年の秋にPちゃんと結婚した。

故にP家の嫁であり、二人の間に生まれた たまちゃんはP家の子である。
だから盆暮れの帰省はPちゃんの故郷へ行くことになる。

Pちゃんの故郷は長崎。
うちも相当遠いと言われるが長崎も遠い。
うちより遠いかも。
でもまぁ雪の心配はないし、大都会も通らないので渋滞は少ないんじゃないかと、わたしは勝手に思っている。

この年末は29日に出発し正月2日に戻ってくるというので、すれ違いで会えないかと思ったが、うちが2日の午後に出発することから1~2時間ほど会えることになった。

彼らの帰省中、Kちゃん(義弟)の携帯にしょっちゅう電話がかかってきていた。
Uちゃんの泣きの電話だ。

Pちゃんのお母さんも随分前に他界し、実家は高齢のお父さんとお兄さん二人という男所帯。
(Pちゃんは7人兄弟の末っ子)
お姉さんが手伝いに来る時もあるそうだけど、すみずみまで行き届くはずもなく、家の散らかり方はすさまじい。
しかも男どもは揃いもそろって煙草を吸うのだ(Uちゃん談)

結婚した年の暮はまだよかった、赤ん坊がいなかったから。
でも今は話が違う、片付けようにも赤ん坊を寝かせる場所もないんだと。
(赤ん坊を連れていくのがわかっているんだから、片付けて待っているのが当然と思っている)

Pちゃんに苦情を述べたら

「だって、箪笥の裏ってこんなものでしょ」だって

あんたら、箪笥の裏に住んでいるのか!?

まぁね。気持ちはわかるよ。
でも自分の実家だってそうだったじゃない。

いまあの家が整頓されているのは後沿いのおくさんのおかげ。
お義母さんの具合が悪かった頃は、お風呂場にナメクジの赤ちゃんがウヨウヨいたし、お宮参りに使えと出してくれた赤ん坊の着物は、染みで茶ばんでいた上に猫の毛だらけで、わたしはショックだったよ。
(義母はかなり視力が衰えていたし、そんな状態でも家族は義母に任せきりだった)

嫁の立場ってそういうもんよ。

そんなこんなでストレスで腹痛を発症させたUちゃんは、早く戻りたいが戻る体力にも自信がなくなったといい、またPちゃんが滞在を延長したいと言っているといって嘆く。

でもまぁ当初の予定通りUターンしてくることになった。

それは元日のこと。
前夜はもちろん除夜の鐘を聞いてから寝たので、正月早々寝坊をむさぼったわたしたちは、初詣、墓参、おばあさんの訪問などなど、正月の行事を進めていた。
上記のUちゃんの愚痴電話につきあいながら。

そして彼らの到着が深夜2時ごろになるというので、申し訳ないけど自宅に帰ってから出直すように話した。
そんな時刻に来られても起きてないし、呼び鈴にも目覚めないだろうから。

彼らは帰省前に食料は空っぽにしているから、家に帰っても食べるものがないという。
そりゃそうだろうけど、いまどき深夜営業のコンビニはあるし、そんなこと事前にわかりそうなもんだ。
わたしらが今までに一度だって真夜中にみんなを起こしたことがあったか?
そういうのを非常識というんだよ。

で、2日の朝。

10時ごろに着くように家を出るというから、我々は9時半ごろに食事をとっていた。
ところが道が空いていたのか、予定より15分も前に車が入ってきたのが窓の外に見えた。

来た来た♪と、みんな喜んだのだが。

ピンポンピンポンピンポンピンポン!!!!!!

せっかちなチャイムの音。
Gsanがそういう鳴らし方をするから、血は争えないなと思って迎えに出ると、今度は玄関の戸をガシガシ足で蹴飛ばしている。

え? Uちゃんじゃないの? ヤクザ?

鍵を開けて新年のあいさつをしようと思ったけど、Uちゃんの怒りに遮られた。

「なんで開いてないの!」

それからしばらく、彼女の怒るに任せるしかなかった。

曰く、昨夜から何も口にしていない、腹が減って気が立っている。
人が来ることがわかっているのに、門も玄関も閉めてあるとはどういうことか。
(2日は新聞配達もないので、その時間まで誰も家から外に出なかった)

わたしは呆れて目が点になった。

あんた、なにさま?

10代の小娘じゃあるまいし、赤ん坊を抱えて、それが母たる者の態度か。

・・・しかし、怒り狂っている者に聞く耳はないだろう。
ましてやその家では、わたしは一番身分が低い。

わたしの実家なら間違いなく許されない。
母は雷を落とすだろう。

いままでGsanのことを誰も止められる人がいないと思っていたけど、Uちゃん、あんたは間違いなくあの人のDNAを受け継いでるね。
Gsanはそんな乱暴なことはしないことを思えば、意外に常識人かもしれない。

わたしも嫁としては最低なので偉そうなことは言わないが、母親としては言いたい。
子は親が口で教えることより、親の態度を見習うもの。
赤ん坊だからと侮るなかれ、あなたの言動をあなたが思っている以上に学習している。

Uちゃんが朝食を食べて(途中何度か、たまちゃんに中断させられつつ)落ち着いたころ、ゆっくり食事もとれないから、いつもご飯の上におかずを積み重ねて食べているというので、それを子どもは真似るよと話してあげた。
ダンナを尻に敷いていたり、Gsanを蔑んでいると、子どももそういう態度をとるよって。
そしたら流石にそれはまずいと反省していた。

なんたって、たまちゃんは女の子。
扉を蹴飛ばして怒鳴り散らすような子に育てちゃまずいよね。



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