食事風景(1)

8時間かけて故郷に到着したのは、日が暮れて人の顔が見えなくなる頃だった。
調子が悪く台所に立てないおくさんのために、外で集合して夕食をとることになっており、一足先に到着したGsanたちが、わたしたちの食事も注文しておいてくれた。
全部で7名。

田舎の小さなホテルだけど、ファミレスとは違い地元の食材で郷土の料理を食べられるのがうれしい。
すでに先発組は、○○御前なる料理に箸を伸ばしているところだった。
相方とわたしの分も運ばれると、さらに新しい料理にチェックを怠らないGsan一家。
汁物や茶わん蒸しの蓋を小皿に、目新しい料理を取り分けて、テーブルの上を小皿が飛び交う。
みんなで味見大会だ。

もちろんわたしの分も強制的にむしりとられた。
欲しいなら分けてあげるが、箸をつける前に言ってほしい。
お返しにと、向こうの小皿も回ってくる。
いや、それは遠慮するから。

たまたま正面に座っていたおくさんが、小声でわたしにささやく。

「こういう習慣がどうしても受け入れられない。鍋料理も自分の箸でつつきまわすので気持ちが悪い・・・」

同感です。行儀のよい行為とは思えません。

昔、Uちゃんがまだ低学年だったころ、一家と食事に(回らない)お寿司屋さんに連れて行ってもらった。
Uちゃんはひとり分の寿司が食べきれないといい、わたしに分けてくれようとしたとき、義母がいさめた。
箸をつけたものを人に分けるのはいけない。分けるなら先にしなさい。
しかし義母なき今、水は低い方へ流れるのみ。

相方の隣になった、たまちゃんが相方のお膳を見つめていう。

「これ、なぁに~?」

団子揚げ


カラフルなつぶつぶをまぶした一口大のだんごが、前菜の皿に盛ってある。
多分すり身のだんご、見た目にかわいいけどお菓子ではないと思うよ。

などという説明を求めているのではない。
おねだりしているのだ。

聞けば同じ料理が他の人のお膳にもあって、すでにおねだりしてもらったのだが、丸くて転げてしまったんだって。
初めてではないのに知らないぶりっ子して、欲しいくせに「欲しい」とは言わずに、人の注意を引いて手に入れようとする技を、4歳にして身に着けている、おそるべし、たまちゃん。

かわいい姪っ子に逆らえない相方は、もちろん譲ってやったが、お姫様は一口かじって皿に戻した。
想像していた味ではなかったようだ。

幼子のやりそうなことだが、大人たちがちやほやするのには虫唾が走る。

欲しければ「これなーに」ではなく「ちょうだい」と頼ませたいし、もらったことには感謝させたいし、わざわざもらっておいて食べ残しなんてありえない。
かわいいから許せちゃうと思っているのは、あんたたちだけだ。

わたしがこんなに心が狭いのは、そういう教育を受けてきたからだろう。
別に命にかかわることではないので、他人の子育てに口出ししないけど。
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カテゴリ: 家族のはなし

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